脳をトレーニングしよう!ネイルシールでレクリエーション
目的
このシールを使って、利用者様との楽しい会話のきっかけを作ると共に、認知症の方へのリハビリ的介入要素を取り入れることを目的としています。
なぜネイルシールがリハビリになりえるのか?
ユマニチュードや回想法といった手法を用いることが認知症やBPSDの改善に良いとされているのはご存じのことおもいます。しかし自然にこれらのことをおこなうのはなかなか難しいことです。
ですがこのネイルシールは自然にこれらのケアをおこなうことが可能です。たとえばシールを貼る際に昔話をしたり、季節の話や家族と行った思い出の場所の話を織りまぜる。そして手をとりシールを爪に貼ってさしあげる。
まさしくこれらは回想法やユマニチュードの考え方そのものです。利用者様がシールを眺めるたびに職員様との会話を思いだします。そしてこのシールの良いところは1回で終わってしまうのではなく後からでも別のスタッフが「シールかわいいですね」とお声かけすると自然にケアや回想法を用いた会話につなげることができます。
是非通常のケアとして、または施設の付加価値としてご使用いただければ幸いです。
使い方
各シールの名称
爪に貼る際の注意点
①シールを台紙から剥がし(剥がしにくいときはピンセットで)、汚れや油分をふき取った爪の上に貼ります。また剥がすときは爪で簡単に剥がれます。
②しばらく長持ちさせたい場合はトップコートを上から塗って下さい。トップコートを塗った後に剥がす場合は除光液でお取りください。
③認知症などで誤食の恐れのある場合はレクリエーションが終わり次第直ぐにシールを剥がしてください。
シール毎の会話例
シール自体は小さく利用者様には見えづらいので、ご覧いただきながら会話を進めるのは難しいかと思います。ですので、始めに会話のきっかけとして「このシール見て~!〇〇の絵が描かれていて可愛いですね♪」とシールに興味をひきつけておいた後、一旦シールは置いてそれぞれの会話例のように話をすすめることをオススメします。
目をみてお話し、最後に「いまの話を忘れないように爪にシールを貼っておきますね。あとでシールをみたら私との話を思い出してくださいね」とシールを貼って差しあげるといった流れです。
①きんたろう・ももたろう・浦島たろうペア・・・
物語の流れを説明していただくようにお話を誘導してみてはいかがでしょうか?
職員「そういえばきんたろうって昔話ありましたよね。どんなお話でしたっけ?」
利用者「なんやったかな?誰かとすもうとってたな」
職員「あーそうでしたね、動物だったような……」
利用者「くまや!」
(ワンポイント)その後の流れはどうなったか本人の口からお話していただくとなお良いです!
・・・話の終盤・・・
職員「そうでしたね!いまの話を忘れないように爪にシールを貼っておきますね。あとでシールをみたら私との話を思い出してくださいね」
②コスモス・もみじ・ひまわり・あさがお・・・・
季節の花のお話からその花にまつわるご自身のエピソードを語ってもらうという方法はいかがでしょうか?
職員「夏のお花ってなにありましたっけ?」
利用者「いっぱいあるなぁ。ひまわりとかかな?」
職員「そうですね!昔はひまわりって多く咲いていたのですか?」
利用者「そうやな、あれは30代のころ旦那と行った……」
(ワンポイント)過去の思い出を楽しく語っていただくように興味のありそうな方へ話を誘導していきましょう!
・・・話の終盤・・・
職員「そうだったんですね!いまの話を忘れないように爪にシールを貼っておきますね。あとでシールをみたら私との話を思い出してくださいね」
③蚊取り線香
色や形を思い出してもらったりするのに使えるかとおもいます。
職員「虫がうっとうしい季節になりましたね。施設でも虫よけスプレーとかしていますが、昔は煙が出るタイプでしたね?」
利用者「そうだね」
職員「えっと……どんな形だったかなぁ…」
利用者「うずまきの形やったよ」
職員「そうだ!色は何色でしたっけ?」
利用者「みどりやったとおもうなぁ」
(ワンポイント)お家で蚊取り線香使われていましたか?どんな家にお住まいだったんですか?など話を広げる工夫があればなお良いです!
・・・話の終盤・・・
職員「かわいいシールもってきたんですけど今話したものと同じような蚊取り線香がありました!かわいいから貼っておきますね!」
④カブトムシ、金魚、スイカ
故郷、夏の風物詩、夏祭りの思い出などにつながるような会話に使っていただけるとおもいます。
(カブトムシ)
職員「昔って野山にカブトムシがいっぱいいたんですよね?」
利用者「そうだね、最近はデパートなんかで売っているらしいね」
職員「みたいですねー。ご近所でも取れたのですか?故郷はどちらでしたか?」
利用者「そだちは○○でな……」
(ワンポイント)過去の思い出を楽しく語っていただくように興味のありそうな方へ話を誘導していきましょう!
・・・話の終盤・・・
職員「かわいいシールがあるので貼っておきますね!」
(金魚)
職員「夏になりましたが縁日を開催している場所も少なくなりましたね。縁日といえば私は食べ物です。○○様はどういったことをされていましたか?」
利用者「そうですね、私は射的とか」
職員「いいですね!ご家族と金魚すくいなんかは?」
利用者「やったよー10匹もってかえったこともある」
職員「すごい!金魚ってどんな色の種類いました?」
利用者「赤と黒で……」
(ワンポイント)どなたといきましたか?何歳の時に行ったのですか?など興味のありそうな方へ話を誘導していきましょう!射的ということばも出ていますのでそこで一旦話を広げてもいいですね!今回は文章の都合上、すぐ話を転換して金魚すくいへ誘導しています。
・・・話の終盤・・・
職員「かわいいシールがあるので貼っておきますね!」
(スイカ)
職員「なつのくだものといえばなーんだ」
利用者「いっぱいあるやんか!」
職員「どれくらい言えるか競いましょうよ」
利用者「いいぞ!」
職員「もも、なし、いちじく、巨峰、マスカット……」
利用者「スイカもあるな!」
職員「そうですね!」
(ワンポイント)夏の風物詩といえば?井戸ってありました?スイカ冷やしたりしましたか?など話を広げていけると素敵です。
・・・話の終盤・・・
職員「かわいいシールがあるので貼っておきますね!」
上記のような会話例以外にも季節の思い出を引き出していきましょう。組み合わせ次第で楽しくレクリエーションできます。
会話の重要ポイントは利用者様に語っていただくことです。昔のことを話すと心が穏やかになります。利用者様のペースに合わせて話をきくことでコミュニケーションを深めることもできます。